- PS2版『花帰葬』ゲーマーズ予約特典ドラマCD(こくろ・こはな篇)レポート -  │HOME


概要

PS2版『花帰葬』 ゲーマーズ予約特典 ドラマCD (こくろ・こはな篇)
ユウミリク書き下ろしドラマ用オリジナルシナリオ


シナリオ要約

- - 現在 - -
山中の夕暮れ。森で遊んでいたこはなを、こくろが迎えに来る。
こくろが家で本を読んでいたので、こはなは気を遣って一人で外で遊んでいたようだ。

白梟 「黒鷹、あなたという人は……」
黒鷹 「おおっと、白梟、ストップストップ。まず私の話を聞いてから、怒るかどうか決めてくれ」

こくろとこはなが家に戻ると、黒鷹が白梟にこっぴどく叱られていた。
いつものように夕食の調達に出かけた黒鷹が、今日はなぜか生肉の山を抱えて戻ってきたのだ。
この家に、料理が出来る人間はいない。

白梟 「よろしい。それでは、伺いましょう。一体どのような理由があって、こんなことになったのか。もちろん、こちらが納得できるようなものなのでしょうね?」
黒鷹 「……ああ、当然だとも!」
こくろ 「今、一瞬考えたな」
こはな 「二人とも、喧嘩しちゃだめだよぉー」

- - 回想 - -
食事を調達するために町へ下りた黒鷹。
夕刻までまだ時間があったので、いつものように自分の描いた絵を路上に飾っていた。
陽の光の下に並んだ素晴らしい自作品に、ご満悦の黒鷹。
しかし通行人に 「邪魔!」と怒られて、しょんぼり。
その後、通りがかった青年が黒鷹の絵に目を留める。
青年は精肉店の息子で、黒鷹の描いた“肉”の絵を見て大いに心を動かされたらしい。
初めて自分の絵を誉められて感動した黒鷹は、青年の店へ行って肉を買い占めてきたのであった。

- - 現在 - -
黒鷹 「いやー、今時めずらしい好青年だった。ほんっとうに、いい青年だった」

満足げに語る黒鷹。くだらない理由に呆れるこくろと、怒り心頭の白梟。
怖い白梟から後ずさりつつ、黒鷹は生肉を使って料理することを提案する。
全く未経験の料理に渋る白梟だったが、こはなは無邪気に大喜び。

こはな 「あのね、僕、うちでごはん作るの、一度やってみたかったんだ!」
白梟 「花白……」
こはな 「村に住んでる子なんだけどね、遊んでて帰る時間になると、おうちからいつも美味しそうな匂いがするの。僕、それいいなーって思っててさ。おうちのごはんって、きっと美味しいんだろうなあって」

こはなは家庭料理に憧れていたのだった。そんなこはなに、白梟もほだされる。

黒鷹 「よし、それでは皆で作ろうじゃないか。うちにも美味しい匂いがするようにな」

こくろ 「まあ別に、いいんじゃないか」
黒鷹 「ん?」
こくろ 「おれも、無駄は嫌いだからな」

- - 過去 - -
黒鷹 「君は何でも一緒に煮るなあ」
玄冬 「俺は無駄は嫌いだからな。それに、大概の物はこうして煮込めば美味くなる。そう学んだ」

玄冬が煮込んでいる物の中身は、黒鷹が食べたくないあらゆる食材だった。

黒鷹 「はぁ……。君は本当にそういうところは容赦がないなあ」
玄冬 「こうでもしなければ食べないだろう。お前も、あいつも」

そこへ、鶏小屋の餌やりをしていた花白が戻ってくる。花白をからかう黒鷹。

花白 「バカトリ……。それ以上そういう事を言うと、本気で怒るからな」
黒鷹 「おっ、やるか? それじゃ、負けたほうが相手のぶんまで野菜を食べるというのはどうだ」
花白 「いいよ、乗ってやろうじゃない。その言葉、泣いて後悔させてやるよ」
黒鷹・花白 「フッフッフッフッフッフッ」

カードゲームで勝負を始める二人。
黒鷹の(自称)華麗なカード捌きをよそに、花白は玄冬が料理しているのをぼんやり眺めている。

玄冬 「どうした、花白?」
花白 「いいな、と思って」
玄冬 「ん?」
花白 「ごはんの時間に、ごはんの匂いがするのを待ってるのって、いいなって思ったんだよ」

- - 現在 - -
黒鷹 「懐かしいな、本当に……」
こくろ 「黒鷹、何ボーッと突っ立ってるんだ?」

昔を思い出していた黒鷹は、こくろに声をかけられて我に返る。
白梟は包丁で手を切ってしまい、別室で休んでいた。

こはな 「もぉ、びっくりしたよぉ。白梟が包丁を持ってジャガイモを切ろうとしたら、血がドバーッって出てくるんだもん」
こくろ 「まさかあれほどの包丁さばきだとはな……。さすがにどうしたらイモで両手を共に切れるのか、おれにも分からない」

後を引き受けることにした黒鷹に、心配そうな顔をするこくろ。

黒鷹 「大丈夫だよ。さすがにこれだけ生きていれば、料理の一度ぐらいしたこともあるさ」
こはな 「えっ、ほんと?」
黒鷹 「まあ、見様見真似だけどね。だが、大概のものは煮込めば美味くなるものだ。それは保障するよ」

シチューを煮込みながら、こくろは今日の黒鷹の行動について、不可解だと述べる。黒鷹が自分からこんな事をするなんて、滅多に無いはずなのに。苦笑する黒鷹。

黒鷹 「後は何を入れるべきかな、味付け。確か、こんなのとか、こんなのとかを入れていた気がするんだがなあ」
こくろ 「それって一体、誰がだよ」
黒鷹 「この料理を私に作ってくれた人間が、だよ」
こくろ 「…………」

こくろは、古い本を取り出す。今日、黒鷹の部屋で見つけた子供向けの料理の本。そこにはシチューの作り方も書かれていた。

黒鷹 「それは……」
こくろ 「ちゃんと覚えてないなら、この本の通りに作ったらいいんじゃないか? ……きっと、知ってる味になる」

失態を悔やみながら部屋から出てきた白梟のもとへ、こはながちょうど夕食に呼びに来る。
二人で歩きながら、こはなは黒鷹と玄冬の料理の様子を嬉しそうに語る。

こはな 「あっ……。ねえ、白梟!」
白梟 「え?」
こはな 「ね、ほら! 家の中、美味しい匂いがする!」
白梟 「…………」
こはな 「こういうの、やってみたかったんだ!」
白梟 「……ええ」

白梟は、穏やかに微笑んだ。

こくろ 「どうだ、味は?」
黒鷹 「うん、なかなかだ。君、いい味付けのセンスをしているな」
こくろ 「この本の通りにやっただけだ。……同じ味だったか?」
黒鷹 「……いいや」
こくろ 「……そうか」
黒鷹 「これには、私の好きなものしか入っていないからな」
こくろ 「えっ?」
黒鷹 「こちらのほうが、美味しいということさ」
こくろ 「…………。意外と酷い食生活を送っていたんだな、お前」

- - 過去 - -
黒鷹 「私が勝っていたのに……」
花白 「僕がこの後、巻き返すはずだったのに……」

黒鷹と花白は、えぐえぐ泣きながら野菜まみれのシチューを食べさせられていた。

玄冬 「野菜を負けたほうに押し付けるだなんて、俺がそんなこと許すわけがないだろう。二人とも、残すんじゃないぞ」

玄冬 「お前たちのために作ったんだからな」

- - 現在 - -
黒鷹 「……思い出は美化されるものなんだろうな、ほんと」
こくろ 「ん? 何か言ったか?」
黒鷹 「なんでもないよ」

- END -


  2006/7/8