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夜の目
【HP】各命堂 【ジャンル】ノベル 【プレイ時間】10分+おまけ3分 【容量】4.96MB 【ツール】NScripter 【備考】2009/1/1-10限定配布 【更新日】2009/1/4
ある日、トモキは酷く暗い目をした少年サトシに出会う。トモキと同じ十歳かそこらで、全身が痣や傷だらけ。その傷はどうしたのかと訊くと、父親に殴られたと言う。父親は自分を大切に思っているから、躾のために自分を打つのだ、愛情表現だ、だから痛くない、嬉しい……とサトシは死んだ目で語る。トモキはその後、度々サトシと会うようになるが……。
2009年正月限定配布の「福袋」に収録されている短編。父親から虐待を受けている少年の病んだ心を描いた鬱ノベル。自分は父親に愛されているのだと自分に言い聞かせ、瀕死の心を必死に守ろうとするサトシの姿が痛々しい。[トモキの人格]が生まれた時点で、サトシの心は既に限界を迎えていたのでしょうね。狂気に満ちた破滅的な結末でありながら、もの悲しいラストでした。[トモキの正体]を明確には書かずに、軽く示唆するに留めているのが良い。新年早々こんな鬱ノベルを福袋に仕込む各命堂さんが好きです。本編を読み終わると、サトシの父親視点「もうひとつの目」へ。システム周りでは、とりあえず文字速度調節が欲しい。


暑い日にはお話を
【HP】路地裏の茶屋 【ジャンル】ノベル 【プレイ時間】10分 【ツール】吉里吉里2/KAG3 【容量】21MB 【更新日】2008/8/28
あっつー。蒸し蒸しするぅ。うちのクーラーが壊れたからアンタの部屋に涼みに来たのに、こっちもクーラー壊れてるなんて。しかもなんで扇風機ないのよぉ。あーもうっ。暑くて動く気にならないー。でもヒマー。ねぇ、暇つぶしに話でもしてよ。なんか涼しくなるようなさぁ。せっかく夏なんだし怖い話とか? そんな感じで話してよー。ねぇねぇ。
彼女に怖い話をせがまれ、彼氏が仕方なく話してあげる短編。「石を積む子」「視線を感じて」「お人形」の三つのお話があります。一応オカルト系の話ではありますが、特に怖くはなく、ちょっぴり悲しかったり切なかったりする三編。話が一つ終わる毎に、彼女が疑問点を挙げたり突っ込んだりして感想を述べ、彼氏がそれに答えています。単に三つのお話が収録されただけの掌編集なら、さほど印象に残ることは無かっただろうと思いますが、合間合間に彼女と彼氏のユルい解説語りが挿入されることで、不思議と良い味が出ていました。この手法は、なかなか使えるかも。


Monster
【HP】どこだい 【ジャンル】ノベル(選択肢なし) 【プレイ時間】30分 【ツール】NScripter 【容量】8MB 【更新日】2008/1/1
ある日、真夜中に目が覚めた私は緑色の醜悪な化物になっていた。どうやら化物になるのは夜の間だけで、朝になると元に戻るようだ。なぜ自分が化物になるのか考え続けた私は、原因は妹ではないかと思い当たる。なぜなら、私は妹のことを殺したいほどに憎んでいたから……。
鬱なクリスマス短編。貧乏な母子家庭で浪費を繰り返し母親を苦しめている妹が最悪で、殺したくなる主人公の気持ちがよく解ります。前作『あの夏祭りで誰が死ぬ?』も貧乏な母子家庭の話で、容赦の無い貧乏描写が辛すぎたのですが、この作者さんは何か貧乏に思い入れでもあるのでしょうか。やがて主人公は妹を殺す決意をしますが、事態は思わぬ方向へ……。主人公にどっぷり感情移入してしまい、悲しくて苦しくて仕方なかった。重苦しいストーリーとは裏腹に、ゲーム画面はクリスマス風にデコレートされ、明るいクリスマスソングが鳴り続けています。このちぐはぐな落差がシュールで何とも言えない。読み終えた後は、どうしようもなく重い虚脱感が残ります。救いが無さすぎて鬱。


ミノカワリ
【HP】どこだい 【ジャンル】ノベル 【プレイ時間】30分 【ツール】NScripter 【容量】8.45MB 【更新日】2008/5/25
中学二年生の泰治は、小学生の頃に仲の良かった剛の家を訪ねる。泰治は学校でいじめられており、剛に身代わりになってほしいと頼みに来たのだ。剛は泰治の身代わりを引き受ける代わりに、条件を提示してくる。それは、剛が殺した家族の死体を裏山へ埋めに行くことだった……。
イジメを受けているキモデブ主人公と、貧困家庭で育った友人のジュブナイル短編。前二作『あの夏祭りで誰が死ぬ?』『Monster』に続き、今作もまたまた「貧乏」と「家族」がテーマ。この作者さんの貧乏へのこだわりは、ただならぬものがあります。凄絶な貧乏シナリオを執拗に書き続ける作者さんを見ていると、なんだか作者さん自身に興味が湧いてくるのですが、サイトを公開されていないので作者さんの人物像は一切不明。うーん、ミステリアス。相変わらずエグい貧乏描写で今作も鬱になりましたが、希望の見える結末には少し救われました。ただ、前二作に比べると、やや印象が弱いような。(追記:2008/7/6 関連サイト開設)


あの夏祭りで誰が死ぬ?
【HP】どこだい 【ジャンル】サウンドノベル 【プレイ時間】20分 【ツール】NScripter 【容量】3.2MB 【更新日】2007/7/19
五年前、夏祭りではぐれた弟の翔太は、屋台の奥の森で変質者に殺された。弟の死を悔やみ続ける中学生の真由美の元へ、死神が現れる。あの夏祭りの夜、弟の翔太が死ぬ運命と、姉の真由美が死ぬ運命、二つの運命が存在するという……?
家族愛を描いた短編。終盤に明かされる意外な真実に、かなりダメージをくらいました。とても悲しい運命だったけれど、運命を変えることが出来て良かった。久々にノベルゲームで号泣。ラストの一枚絵が綺麗で、これまた泣ける。


平凡な事件
【HP】アカネイアの空 【ジャンル】サウンドノベル 【プレイ時間】15分 【ツール】Yuuki! Novel 【備考】製作サイトに攻略あり 【更新日】2006/12/18
高橋健二は監査法人に勤める会計士の卵。いつものように朝の満員電車に乗り、クライアント先で先輩たちと働く。今日は彼女の誕生日で、夜にデートの約束もある。そんな平凡な一日だったが……。
新人会計士として会社の不正を暴くサウンドノベル。会計士の仕事ぶりが解りやすく描かれていて楽しめました。体育会系の桃谷と穏やかな根本、二人の先輩も味があって良い。「平凡な事件」というタイトルに興味を惹かれてプレイしたのですが、事件自体は非凡でしたね。エンディングリストも欲しかった。


私の黒猫
【HP】QUADRIENNALE(カドリエンナーレ) 【ジャンル】ノベル 【プレイ時間】15分 【容量】4.7MB 【ツール】NScripter 【更新日】2007/7/13
ドン吉は人間の言葉を話す不思議な黒猫。半年前に女子高生の藤田亜希に拾われ、彼女の飼い猫になった。ある日、亜希の友人から“星野くん”が遠くの病院へ転院することを聞く。その日から、亜希は元気が無くなり……。
エンディングは三種類。選択肢によってEND1「託された夢」、END2「パートナー」、END3「私の黒猫」へ分岐します。全員が完全に幸せになるハッピーエンドはありません。予想通りのベタな展開ではありますが、それでも悲しい。メインの感動どころはEND3ですが、個人的にはEND2のほんのり物寂しい結末も好きですね。


白い記憶
【HP】Snowman Project(スノーマンプロジェクト) 【ジャンル】サウンドノベル(選択肢なし) 【プレイ時間】30分 【容量】21MB 【ツール】Ares 【更新日】2006/3/27
深夜の公園で真由と麻美は白い錠剤を口に含み、自殺を図る。二人はブランコをこぎながら、最後の挨拶を交わした。「おやすみ、麻美」「おやすみ真由……」 その後、真由は一人で病院のベッドで目覚める。麻美はどうなったのかと母親や医者に訊ねても、誰も教えてくれない。麻美は死んでしまったのだろうか……?
オチはありがちですが、その判りきっているオチを、あからさまにオチとして書いていない点は評価できます。現在と過去を交互に描きながら、ラストでイントロに繋げる構成は面白かった。意外性は皆無でしたけれども、なかなか綺麗なラストでした。ただ、システムは極悪。セーブなし。スキップなし。1ページ分のテキストがのろのろと表示されて最後にクリックマークが出るまでページ送り不可。文字速度の調節不可。クリックマークの反応も悪い。短編にもかかわらず、かなりストレスが溜まりました。


Narcissu ナルキッソス
【HP】ステージ☆なな 【ジャンル】サウンドノベル(選択肢なし) 【プレイ時間】2時間 【ツール】NScripter 【更新日】2005/8/19
医師から死の告知を受けた主人公は、命が尽きるまでの場所として病院の七階へ移された。そこで同じように死を待つのみの少女セツミと出会う。彼女は主人公に問うた。家と七階のどちらで死ぬつもりかと……。
余命少ない二人が病院を脱出して車で旅をする物語。作者は「ねこねこソフト」のシナリオライターである片岡とも氏。要所にセツミのCGが数枚あり、ボイスの有無を選択できます。音楽やグラフィックなど洗練されており、全体的にクオリティが高い。シナリオに関しては、十代の若者が好みそうなセンチメンタリズムが少々鼻につきました。


narcissu -SIDE 2nd- (ナルキッソス2nd)
【HP】ステージ☆なな 【ジャンル】ノベル 【プレイ時間】3時間 【容量】269MB 【ツール】NScripter 【更新日】2007/5/30
15歳の夏。セツミは幾度も入退院を繰り返しながら、長い通院生活を送っていた。いつものように診察を終えて帰ろうとする途中、セツミはパジャマ姿の見知らぬお姉さんに話しかけられる。彼女は七階の住人──死を待つのみの末期患者だった……。
前作『ナルキッソス』より六年前の物語。まだ七階(ホスピス)の住人ではないセツミと、七階の住人である姫子の交流が描かれます。前作は特に心にくるものはありませんでしたが、今作は不覚にも泣いた。前作は最初から最後まで死にゆく二人だけで世界が閉じていたせいか、ほとんど共感できなかったのですが、今作は死にゆく者と残される者の両者が描かれており、前作より現実味がありました。お母さんの荒れた赤い手、嫌いだと言えないポテト、それら一つ一つが哀しくて、涙が出てしまった(個人的に家族ネタに弱いせいもある)。前作「1」も同梱されており、「2」と「1」を両方クリアするとエピローグが現れます。初回起動時の強制フルスクリーンはやめてほしい。