ある日、トモキは酷く暗い目をした少年サトシに出会う。トモキと同じ十歳かそこらで、全身が痣や傷だらけ。その傷はどうしたのかと訊くと、父親に殴られたと言う。父親は自分を大切に思っているから、躾のために自分を打つのだ、愛情表現だ、だから痛くない、嬉しい……とサトシは死んだ目で語る。トモキはその後、度々サトシと会うようになるが……。
2009年正月限定配布の「福袋」に収録されている短編。父親から虐待を受けている少年の病んだ心を描いた鬱ノベル。自分は父親に愛されているのだと自分に言い聞かせ、瀕死の心を必死に守ろうとするサトシの姿が痛々しい。[トモキの人格]が生まれた時点で、サトシの心は既に限界を迎えていたのでしょうね。狂気に満ちた破滅的な結末でありながら、もの悲しいラストでした。[トモキの正体]を明確には書かずに、軽く示唆するに留めているのが良い。新年早々こんな鬱ノベルを福袋に仕込む各命堂さんが好きです。本編を読み終わると、サトシの父親視点「もうひとつの目」へ。システム周りでは、とりあえず文字速度調節が欲しい。 |