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雪の舞う町へ飼い猫と共に越してきた斗一。荷解きをしていると、猫が家から抜け出てしまった。慌てて追いかけた斗一は、ある古びた家の庭へ猫が入っていくのを見る。そこで出会った一人の少女。彼女は言った。「夜だけ……。夜だけ、ともだちになって」
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選択肢無しのビジュアルノベル。ふとしたことで知り合った少女・舞子と斗一は、夜の公園で度々会うようになります。彼女はよく笑う明るい女の子。けれど、いつも何かに脅えているようでした。彼女を苦しめているものは一体何なのか。月明かりの夜、舞子の家を訪れた斗一は、彼女の真実の姿を知ることに……。
舞台は古めかしい木造の家が建ち並ぶ古都。何気ない情景描写が美しく、ハッとさせられます。淡々とした静かな文章は、ストンと心に落ちてくるように自然で、それでいて何かが引っかかる。一つ一つ言葉を選ばれ、気を配った描写をされています。降り積もる雪、傷の疼き、猫の声、紅い金魚……。これらの鮮烈なイメージこそが、この作品の肝ではないでしょうか。
くすんだ色合いのグラフィックが綺麗で、背景画像も含めて丁寧に描かれています。立ち絵だけでなくスチルでも
舞子の表情や仕草の変化が細やかに描かれており、彼女の心情が素直に伝わってきました。透明感のある音楽がシナリオを高め、儚く繊細な世界を作り上げています。特にラストに流れるテーマ曲「雪花」とテキスト、演出の重なりは素晴らしい。
本作では事実をはっきりと明記せず、プレイヤーに想像の余地を残している部分が多くあります。たとえば、“薬”。たとえば、机の中の“首輪”。[家政婦の季田と舞子の会話から、「薬」とは人間の血であることが推測されますが、それをどこから調達していたのか?など、いろいろと疑問も残ります。] エンディングも曖昧に描かれているので、人によって様々なとらえ方があるでしょう。どれが正解で、どれが間違っているということは無いかもしれません。[私は、舞子が着た喪服は金魚と自分の為のものだったのだろうと考えています。]
全編を通してシンとした静謐さがあり、美しくも余韻の残る終幕でした。
(2002年5月14日)