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masher

明るくて、少しおとなしい女子高生の唯。彼女はある日を境に、電車の中で執拗に痴漢に狙われるようになる。毎朝必ず唯の背後に立ち、手を差し込んでくる男。怖さと恥ずかしさで、何も抵抗できない唯。男の行為は、日に日に激しさを増してゆく……。



masher

電車の痴漢を題材とした陵辱ノベル。被害者の少女の視点から書かれている点が大きな特徴です。作者は男性ですが、少女の心理描写が巧い。痴漢に遭った時の戸惑いや恥ずかしさ、それらが恐怖に変わる瞬間など、唯の一つ一つの心の動きがリアルに描かれています。

初めて痴漢に遭った日、家族との食卓で感じた疎外感。次第にエスカレートする痴漢行為に消耗する心。暗く閉塞した満員電車と、学校の明るい教室の落差。読みやすい文章で丁寧に書かれており、ぐいぐい惹きこまれます。唯が親友の千絵ちゃんと じゃれ合うシーンは温かく切なく、そして悲しくなりました。彼女は本当に普通の女の子なのです。

主なグラフィックは電車の中の唯のみに限定されています。暗いシルエットの群れの中で、ポツンと浮かび上がる唯の姿。その身体に伸びる男の手。閉塞した空間の恐怖、見えない侵略者への恐怖がひしひしと伝わってきました。唯の白い肌を這いまわる男の黒い手のコントラストが美しく、艶があります。またシルエットのみの描写のおかげか、きわどい画像にも不思議と清潔感があり、本来感じるはずの嫌悪感が薄れていたように思います。

BGMは全て自作。タイトル画面で流れるシックな曲や、ノーマルエンドのやるせない曲。痴漢の場面で流れる曲は危険信号のように不安を掻き立てるものがあり、恐怖感が増しました。

シナリオは一本道ですが、一度ノーマルエンドを迎えた後で再プレイすると、後半にトゥルーエンドへの選択肢が現れます。トゥルーといってもハッピーエンドではありませんので、見たくない方は見ないほうが良いかもしれません。限界まで追いつめられた少女に残された選択とは……。


masher Another

佐伯智也は駅で一人の少女を待っていた。今日は、以前から目をつけていた彼女に最初の接近を計る日だ。やがて少女が駅にやって来て、電車に乗り込む。彼は少女に近付き、ゆっくりと手を伸ばす──。

「masher」の追加シナリオ。本編で被害者の唯の視点から書かれていた6日間を、こちらでは痴漢の男・佐伯の視点から書かれています。本編の補足的な内容ですので、細かな描写は省かれており、エロ度はさほど高くはありません。

唯に触れるうち、次第に彼女に対して恋心にも似た執着を抱くようになる佐伯。彼が唯のちょっとした仕草や接触などにときめくシーンは、なんだかドキドキしました。やっていることは痴漢なのですけどね。被害者の唯のほうは、たまったものではありません。痴漢行為を繰り返しながら、唯にどんどんのめり込んでゆく佐伯の心理が描かれ、興味深い内容でした。

本編と同じく、一度ノーマルエンドを迎えると トゥルーエンドを見ることができます。予想もしなかった結末に呆然とし、打ちひしがれる佐伯。全ては佐伯のエゴが招いた結果であり、身勝手な感傷ではありますが……。(じゃあさっさと警察行って自首してこいよと言いたいわけで

(2002年2月8日)


【対象】18禁 【ジャンル】ビジュアルノベル 【プレイ時間】40分〜1時間 【容量】5.64MB(masher)、40KB(another) 【ツール】NScripter 【参考1】ピックアップ投票結果 【参考2】九鷲見亮介様インタビュー

【HP】「Silveredsteel」 http://silste.sakura.ne.jp/