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ドアを開けると、そこには一人の少女がいました。あなたは その少女と二人で 「なかよしテスト」というゲームをやることになります。ここはどこなのか? 少女は誰なのか? ゲームは何のために? 何もわからないまま、不思議なコミュニケーションゲームが始まります。
僕はただ黙って、君に消費される。
要らなくなったらすぐにでも捨ててくれていいんだ。
この「なかよしテスト」は 「囚人のジレンマ」というゲーム理論を元にしたもので、ルールは
ほぼ同じです。あなたと少女は、それぞれ【すき】と【きらい】の2枚のカードを持っています。【コンタクト】でどちらかのカードを1枚ずつ出し合い、二人が出した【すき】【きらい】に応じて、それぞれの「トク」(徳)(得)が増減します。
二人とも【すき】なら、互いに+1点。
あなただけ【きらい】なら、あなたは+3点。少女は−2点。
少女だけ【きらい】なら、あなたは−2点。少女は+3点。
二人とも【きらい】なら、互いに−1点。
この【コンタクト】を10回繰り返せば、「なかよしテスト」は終了です。上記のルールを見れば解る通り、自分のことだけを考えるのならば、【きらい】を出したほうが得です。けれど、二人が同じように相手を裏切ることだけを考えていたら、二人とも損をしてしまいます。互いに相手を思いやることで、どちらも少しずつ得をするのです。
「お互いが信頼し合い、協力し合う。すごく、美しいゲームなんですよ」
しかしゲームが進むにつれて、次第に あなたと少女の置かれている状況が判ってきます。ここは牢獄で、そして「なかよしテスト」で「トク」を得ることが、牢獄を脱出するための唯一の手段であるということ。それでも相手を思いやり、相手を信じることが出来るでしょうか?
少女は言葉巧みに あなたを誘導し、あなたが【すき】を出すように仕向けてきます。
「私は、【すき】を出すつもりです。だから、お願いです。貴方も【すき】を出してください。お互いが【すき】を出し合えば、お互いがトクを得ますからね。それって素晴らしいことでしょう?」
「この調子で仲良くいきましょう。そうすれば、誰も損しませんからね。よかったぁ、あなたがいい人そうで」
そして少女は何度でも、あなたを裏切ります。
「や、手がすべりました。気にしないでください。次はちゃんとしますんで」
「あはっ……。わかりますよね? 事故ですよ、事故。ちょっとしたアクシデントです。あまり深く考えないで。次も【すき】を出してください。私を信じてください。ね……」
ただ、信頼すること。それだけのことが こんなにも難しく、脆いバランスの上に成り立っています。
【すき】と【きらい】、あなたはどちらのカードを選びますか?
(2003年3月30日)