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カレイドスコープ

大学一年生の梓と高校二年生のめぐみは仲の良い幼馴染。梓は幼い頃からめぐみに想いを寄せていたが、めぐみの「彼氏ができちゃいましたー!」発言により、その想いは行き場を失う。自分の気持ちを抑えてめぐみの恋を応援することにした梓だったが、ある日、彼氏とデートに出かけためぐみが事故に遭い……。



下半身不随になった少女の成長を描いたヒューマンドラマ。選択肢によって些細な変化はありますが、シナリオは概ね一本道です。序盤で幼馴染のめぐみが梓を起こしに来るあたりで「どこのギャルゲーだ」と思い、めぐみが梓のほっぺにチュウするあたりで早くも読むのをやめたくなりましたが、その後めぐみが事故に遭ってから、物語は一転します。

下半身に麻痺が残り、一生車椅子の身となっためぐみ。一時は絶望し、生きる気力を失っためぐみですが、片足の少年と出会い、周囲の人々に支えられ、少しずつ車椅子の自分を受け入れていきます。苦しみを乗り越えて成長していくめぐみの姿が丁寧に真摯に書かれており、心に響くものがありました。

ストーリー自体はお約束な展開も多く、正直どこかで見たような、よくある話です。登場人物も記号的で、物語の都合の良いように配置されている点が目立ちました。たとえば電車の男子高校生は「悪い人」で、担当教師やクラスメイトたちは皆「いい人」。言ってしまえば、いかにも出来すぎた話、作り話です。……けれど、それでもめぐみが人々との触れ合いを通じて生きる力を取り戻していく様には涙が出ましたし、素直に感動しました。

読みながら、随所で「ベタすぎる」「ご都合主義」などと思いつつも、なぜかボロボロと涙が出てしまう。作者さんの筆力もあるでしょうけれど、それだけでもないような気がします。たとえば第五章「バリアフリー」は、前述したような欠点が特に目立つ章でした。ご都合主義なキャラ配置とストーリー。しかも締めは作者の語り。にもかかわらず、個人的に一番泣いたのが第五章でした。『本当の「バリアフリー」とは、つまりこういう事なのだ』 これは作者さんが本当に伝えたかったことなのでしょう。作者の確固とした“伝えたいこと”があるから、ストーリーがベタでも陳腐でも、少なからず読者の心を動かすのかもしれません。

ベタだベタだと思いながら読んできましたが、ラストのオチも思いっきりベタで、「最後までハズさないな」と、なんだか笑ってしまいました。ただ、その後、人生がどうたらこうたら語ってタイトルの意味を説明しているのは蛇足では? 全体的に説明しすぎ、主張しすぎの感がありますので、もう少し考え方や感じ方を読者に委ねても良かったのではないかと思います。

(2005年5月21日)


【ジャンル】サウンドノベル 【プレイ時間】3時間 【容量】8.7MB 【ツール】NScripter 【参考1】ピックアップ投票結果 【参考2】NaGISA様インタビュー

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