| - フリーゲームレビュー:一般向 - │HOME│ADV:コメディ(1)│ |
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安岡巧はボロアパートに一人暮らしの無気力な赤貧大学生。クリスマスを控えたある日、自室の畳に水玉模様のキノコが生えていた。現実逃避してキノコを放っておいた巧は、翌朝、見知らぬ女の子が裸で隣に寝ているのを発見する。彼女は巧の部屋の畳から発生したキノコ生命体だった。世界に迫る危機を察知して生まれてきたというキノコ生命体は「マッシュ」と名乗り、危機の正体を探るため、巧の部屋に無理やり居候することに……。
「巧さん、起きて下さい」
「萌え萌えな幼なじみの女の子が起こしに来てくれたらな」
「巧ちゃ〜ん」
「ちゃん付けに変えたところでキノコはキノコなんだよッ!」
マイペースなキノコ生命体とネガティブなツッコミ系ヘタレ主人公の不条理ギャグファンタジー。一見ラブコメっぽいイントロですが、実際にはラブは欠片も無く、殺伐とした漫才会話が繰り広げられます。アホらしく見える選択肢も実はエンディングに関係していたりするので注意。BGMは作者さんによるオリジナルで、何気に良い曲が揃っています。ラストで「キノコ愛のテーマ」が流れた時は、不覚にもジワリときました。
小ネタが大量に仕込まれており、元ネタは漫画、アニメ、ゲーム、小説、歌、CMなどなど超多彩。「UUUURYYYYYYYYYYYYYY」(ジョジョ)、「ボクは自動的なんだ」(ブギーポップ)あたりのポピュラーなネタはすんなり分かるとしても、「本物の発破を持ち出しかねん」(アパッチ野球軍)あたりになると、すでにプレイヤーの理解を放棄していると見て良いのでは。馬キャラ(実写)まで出てきて、もう何が何やら。
最初から最後まで支離滅裂な馬鹿馬鹿しいシナリオですが、ラストは姑息にもホロリとくる展開に。このようにラストでヒロインが呆気なく消える場合、お約束としてはスタッフロール後のエピローグで主人公の元へ彼女が再び……というのが王道パターンですが、それはありませんでした。マッシュはただ使命を果たすために生まれ、そして消えていった。マッシュは幸せだったのでしょうか? 終始アホな話だったにもかかわらず、あのラストのせいで、なんだかいろいろ考えてしまいます。姑息な。
姫路佳世はボロアパートに一人暮らしの無気力な女子高生。ある日、学校から帰宅すると、「トリュフ男爵」と名乗る電波親父が自室に居座っていた。彼は姫路が子供の頃に書いた物語ノートから生まれた胞子生命体だという。同じように物語の中から七体の悪のキノコが発生して町へ散らばったらしい。人類滅亡を目論む「七戦士ズ」を倒すため、正義のヒーローになってみないか?と姫路を勧誘してくるトリュフ男爵。怪しさ満載の男爵から逃げて夜の町を彷徨っていた姫路は、第一の刺客に襲われ……。
「まぁ、座れや。茶も入ってることだし」
「ん〜〜〜〜〜〜ッッじゃっかましゃあッッ!! 勝手に人んち入るなって言ってるでしょう?!」
「もう諦めろや。青猫ロボの侵入も宇宙人の来襲も防げやしないのさ」
第1話「王さまの心」、第2話「愛と平和」、第3話「あしたへの一歩」、第4話「はちみつ狩り」、第5話「星屑少女たち」、最終話「第七の戦士」。一話完結式の全六話構成。
ええと、これはどういうジャンルでしょうか。バイオレンスヒーローバトル不条理ギャグファンタジー? 今作の主人公は女子高生ですが、前作の男主人公より駄目人間っぷりが増しており、世間一般の戦う美少女ヒロインとはかけ離れた毒々しいダークヒーローとして敵を容赦なく惨殺していきます。
相変わらずマニアックなパロディネタだらけですが、今作ではフルーツバスケットやら王家の紋章やら、少女漫画ネタも入っていることが特徴でしょうか。ドラえもん道具ネタの微妙なチョイスに笑った。終始アホなノリで進むわりに、犬は巨大ハサミで裂かれるわ、幼女は首チョンパされるわ、はっきり言ってエグい。ディープなパロディまみれの不条理ギャグと毒に満ちた猟奇バトル(自主規制あり)のドッキングで、一般人を退かせること間違いなし。しかし一番エグいのは、実はモップ犬の正体かも(笑)
戦闘は乱数によるサイコロバトル。姫路がシナリオ内で精神的ダメージを負う毎に「心毒値」という負のエネルギーが蓄積し、これによって心の武器「ハート・オブ・キング」を操って戦います。姫路の心から毎話「無慈悲の鋏」「偽善者殺し」などの凶悪武器が生まれ、回を重ねるごとに武器を増やしてパワーアップしていきます。武器はそれぞれ間合いによって命中率が異なりますので、敵の特性も考慮して上手く使い分けましょう。間合いロール→武器選択→間合い修正→攻撃力・防御力振り分け→命中ロール→攻撃ロールの流れで戦闘力を算出し、これをターンごとに繰り返します。手間は掛かりますが、付属のヒントを踏まえて戦えば、さほど難しくはありません。クリア後に入手できる武器「デストロイ」によって、二度目以降のプレイでは戦闘をスキップできます。
姫路の住むボロアパートの描写に見覚えがあると思ったら、やはり『Kinoko1』の巧と同じアパートでした。しかも、なんと隣人同士。同じキノコ居候経験者として、しみじみと語り合う姫路と巧。シリーズものは、こういうところが楽しいですね。人喰い犬に食われそうになるわ、巨大キノコに握り潰されるわ、辻ボクサーに殴られるわ、前作主人公とも思えない扱いの巧が哀れ。
シリアスな場面でも主人公が茶化すので、いまいちシリアスになりきれていません。前作でもそうだったのですが、これは作者さんの照れが混じっているのか、そういう性分なのか。読者としては、そういう中途半端なシリアスほど反応に困ったりもしますが。結局、男爵が主人公に何かを残すわけでもなく、感動があるわけでもなく、ストンと終わります。テーマ性が有るような、無いような。主人公は成長したような、していないような。つまるところ、どういう話だったのか?と問われると、なんとも答えにくい代物です。
製作サイトのKinokoシリーズの紹介に「ジャンルはヘタレ!」と書かれており、うん、まあ、確かに……と納得してしまう作品ではありますが、そのわりには戦闘やグラフィックや音楽など、いろいろと気合いも入っており、ヘタレの一言で片付けられるようなものでもありません。シナリオも絵も音楽もスクリプトも全て一人で製作されているのは凄い。可愛い絵に反して萌えは欠片も無く、作者さんが好き勝手に作りたいように作ったらこうなった、という感じの作品です。こういうのもアマチュアのゲームらしくて良いのではないでしょうか。
(2006年1月5日)