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天雨月都
てんのあめつきのみやこ

小日向薫(こひなた・かおる)は一人暮らしの高校一年生。ある日学校へ行くと、靴箱にクラスメイトの小日向椎子からのラブレター(?)が入っていた。椎子は薫の血の繋がらない従兄妹で、才色兼備の美少女。いそいそと待ち合わせ場所へ向かった薫は、いきなり側頭部に彼女の蹴りをくらい、昏倒する。「学校に『小日向』姓が三人いるでしょ。その三人は、殺し合うために在籍しているのよ」



特異な能力を持つ小日向一族の闘いを描いた伝奇ビジュアルノベル。「椎子編」「都紀子編」「時雨編」「小夜子編」「最終章」の5篇構成予定。今回のver4.0では「椎子編」と「都紀子編」を最後までプレイできます。


椎子編 (お試しver3.0)

啓二、椎子、薫の三人は小日向一族の後継ぎ候補。小日向には同世代の者たちの殺し合いによって後継者を決める掟があり、母方の連れ子で本家と別居していた薫は、何も知らないまま後継ぎ候補として登録されていた。薫が小日向の争いと無関係であることを知った椎子は、本家に言って薫の登録を解いてもらうことを約束する。それまで啓二の襲撃を避けるため、二人は常に行動を共にすることに……。

健気な薄幸ヒロイン、椎子編。ストーリーの緩急の付け方が巧みで、次々と起こる新しい展開に退屈する暇がありません。友人の加納との掛け合いなど日常描写が楽しく、一方では猟奇的な場面にゾクリとすることも。骨組みはオーソドックスな伝奇ものですが、肉付けに独自の味があります。
エンディングは「グッドエンド」「ちょっとバッドエンド」「バッドエンド」の3種類。バッド系エンドへ行くと「加納と小夜子のヒントコーナー」を見ることが出来ます。これがなかなか楽しいので、初回プレイでグッドエンドへ到達してしまった方も、よろしければバッドエンドを探してみてください。
お試しver3.0では「椎子編」は完結しているものの、まだまだ数多くの謎が残っています。おまけの次回予告によると ○○との共闘もあるようで、とても楽しみ。完全版の公開が待ち遠しい一作です。

(2003年10月27日)


都紀子編 (お試しver4.0)

薫を守り、命を落とした椎子。薫は椎子の仇を討つため、椎子の妹であり精鋭部隊「影狼」の一員である都紀子と共に武具「狼牙」の特訓を始める。一方、「影狼」は薫を殺すために動き始め……。

悲しい結末から始まる都紀子編。今作では小日向一族の精鋭部隊「影狼」のメンバー、丈と恵が登場します。戦闘シーンが多く、小日向各人の所有する能力「風」「炎」「水」「雷」「土」が揃い踏み。この元素別能力により各キャラの戦闘にも個性が出ており、戦闘シーンのたびにわくわくしました。緊迫した場面のBGMの選択も上手い。

加納との日常会話の楽しさも相変わらずで、思わぬところで吹き出してしまいます。コーヒーなどを飲みながらプレイするのは危険。そして、ヒロインの都紀子が椎子に負けず劣らず健気で泣ける。同じ人を好きになって、同じように どこまでも好きな人を守ろうとして……。姉妹ですねえ。小日向の掟に縛られる啓二の苦悩、椎子への屈折した想いなども前面に出てきて、啓二の違った一面を知ることも出来ました。最後まで戦闘マニアだった丈にも笑いましたし、各キャラが実に良い味を出しています。

やや気になったのは、「ヒュウガ」の説明が足りなかったこと。椎子編では何ページも使って みっちり説明していたのに、都紀子編では5〜6行程度。都紀子編でも「ヒュウガ」は重要な要素なのに、これではヒュウガと小日向の因縁がよく解りません。もし椎子編をクリアした後に都紀子編をプレイできるようになる構成なら、これで構わないと思いますが、最初から都紀子編に行くことも出来るわけですから、やはりもう少し説明が欲しいです。

また、この時点ではヒュウガのことを知らないはずの薫が「もしも俺がホントのヒュウガだと奴が思っているのなら、自分の命も危ないはずなんだ」などとチグハグなことを考えていたり、加納の壺をテレビで観て知っている場合でも、知らなかったような反応をしたり。若干、ルート別の書き分けが甘いようです。

比較的練られたシナリオに対して、グラフィックが手抜き気味であることも気にかかります。立ち絵の種類は多くて良いのですが、スチルのほとんどが顔のアップというのはいただけません。背景も写真画像の流用ばかり。スチルはゲーム中の楽しみであり、盛り上げどころであるのに、このような芸の無いスチルばかりでは意欲も減退します。もっと描き込む、全身を入れる、構図を工夫するなど手を入れて欲しい。
見せ場であるはずの戦闘シーンにも、なぜかほとんどスチルが入っていないのは残念です。せめて一人の戦闘シーンにつき一枚のスチルは欲しいところ。せっかく「ビジュアルノベル」なのですから、テキスト・ビジュアル両面から盛り上げて欲しいものです。

エンディングは椎子編と同じく、「グッドエンド」「ちょっとバッドエンド」「バッドエンド」の3種類。選択肢の数は少なく、エンディングへの分岐も単純ですので、攻略には全く苦労しません。ほとんど意味を為していないヒントコーナーが笑える。システムまわりでは、セーブ数がもう少しあると嬉しかったでしょうか。また、バッドエンド後に いちいち流れるスタッフロールが鬱陶しいので、スキップできるようにしてもらえると有り難かったかも。

クリア後は、お楽しみの次回予告。次の「時雨編」では、薫の○○である○○○が登場? これまたアブなそうな人で、楽しみ。椎子編と都紀子編では啓二の位置付けがだいぶ違っていましたので、時雨編ではどうなるのかも気になるところです。「時雨編」の次は「小夜子編」が控えているわけですが、正直、小夜子編はどんなストーリーになるのか見当がつきませんね。Fateの桜ルートみたいになったりして。何にしろ、期待して待ちたいと思います。

(2004年3月29日)


【プレイ時間】 3〜4時間 【総プレイ時間】6〜7時間 【容量】 10.8MB 【ツール】 吉里吉里2/KAG3  【参考】ピックアップ投票結果 … [椎子編] [都紀子編]

【HP】 「Project天月」 http://f20.aaa.livedoor.jp/~tentsuki/
2005年3月: お試しver5.0「時雨編」序盤(生きてますVER.)公開
2004年3月: お試しver4.0「都紀子編」公開
2003年9月: お試しver3.0「椎子編」公開