- フリーゲームレビュー:RPG -  │HOMERPG(1)


満月の夜の姫

ある満月の夜、山奥の洞窟に一人の若者が現れる。彼の名は鞍春。妖怪に攫われた姫君を捜すためにやって来た。……というのは名目で、本当の目的は、この洞窟に棲む狐の妖怪に会うこと。鞍春が洞窟へ足を踏み入れると、化け猫が罠にかかって困っていた。助けてやると、化け猫は案内役として鞍春に付いてくる。



扉を守る妖怪たちを倒しながら、洞窟を進んでいく和風RPG。最奥にいる狐に会うことが目的です。冷静で無愛想な青年・鞍春と ドジな化け猫・タマのコミカルな会話が楽しい。自分で自分の仕掛けた罠にかかったり、蔦に絡まったり、池に落ちたりと、大ボケをかましまくりのタマ。そんなタマに、クールにツッコミを入れる鞍春。タマの表情がクルクルと変わって愛らしく、何気に意地悪な鞍春も良い味を出しています。

洞窟の扉を守る妖怪は三人。黒羽の真実、枯れ木のおジジ、白髪の鬼。妖怪たちを倒すと、妖気と共に彼らの過去が飛散します。彼らの、かつて人間だった頃の記憶。後悔と悲しみで満たされた、やるせない想い。心の闇にとり憑かれ、あるいは自ら望み、人外へと身を堕とした者たち……。妖怪たちの過去と想いに触れながら、鞍春とタマは奥へと進んでいきます。

ゲーム性よりも物語を主体とされており、RPGというよりADVに近いかも。戦闘も容易ですので、RPGが苦手な方も気軽にプレイできるでしょう。パッと見て人目を引くような派手さは無いかもしれませんが、しっとりと心に染み入ってくるような豊かな情緒があります。丁寧に愛情を持って作られているのが伝わってきて、心地よくプレイできました。

洞窟の最奥で出会う狐の姫。明かされる過去と、もうひとつの真実。……彼らは皆、どこかで間違ってしまいました。それでも人の縁、人の想いは変わらずにある。そんな人と人との繋がりがある限り、また再び大切な人と会うことも、やり直すこともできるでしょう。心に灯る温かさと共に、しみじみとした余韻が残りました。主役二人が最後まで可愛らしかったことも、ここに付け加えておきます。

(2002年 1月18日)


【プレイ時間】40分 【容量】2.04MB 【ツール】RPGツクール2000 【参考1】秋里京子様インタビュー 【参考2】ピックアップ投票結果

【HP】「秋里の小部屋」 http://www5b.biglobe.ne.jp/~akisato/