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ある満月の夜、山奥の洞窟に一人の若者が現れる。彼の名は鞍春。妖怪に攫われた姫君を捜すためにやって来た。……というのは名目で、本当の目的は、この洞窟に棲む狐の妖怪に会うこと。鞍春が洞窟へ足を踏み入れると、化け猫が罠にかかって困っていた。助けてやると、化け猫は案内役として鞍春に付いてくる。
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扉を守る妖怪たちを倒しながら、洞窟を進んでいく和風RPG。最奥にいる狐に会うことが目的です。冷静で無愛想な青年・鞍春と
ドジな化け猫・タマのコミカルな会話が楽しい。自分で自分の仕掛けた罠にかかったり、蔦に絡まったり、池に落ちたりと、大ボケをかましまくりのタマ。そんなタマに、クールにツッコミを入れる鞍春。タマの表情がクルクルと変わって愛らしく、何気に意地悪な鞍春も良い味を出しています。
洞窟の扉を守る妖怪は三人。黒羽の真実、枯れ木のおジジ、白髪の鬼。妖怪たちを倒すと、妖気と共に彼らの過去が飛散します。彼らの、かつて人間だった頃の記憶。後悔と悲しみで満たされた、やるせない想い。心の闇にとり憑かれ、あるいは自ら望み、人外へと身を堕とした者たち……。妖怪たちの過去と想いに触れながら、鞍春とタマは奥へと進んでいきます。
ゲーム性よりも物語を主体とされており、RPGというよりADVに近いかも。戦闘も容易ですので、RPGが苦手な方も気軽にプレイできるでしょう。パッと見て人目を引くような派手さは無いかもしれませんが、しっとりと心に染み入ってくるような豊かな情緒があります。丁寧に愛情を持って作られているのが伝わってきて、心地よくプレイできました。
洞窟の最奥で出会う狐の姫。明かされる過去と、もうひとつの真実。……彼らは皆、どこかで間違ってしまいました。それでも人の縁、人の想いは変わらずにある。そんな人と人との繋がりがある限り、また再び大切な人と会うことも、やり直すこともできるでしょう。心に灯る温かさと共に、しみじみとした余韻が残りました。主役二人が最後まで可愛らしかったことも、ここに付け加えておきます。
(2002年 1月18日)