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月ノ光 太陽ノ影

総評:5
★★★★★☆☆☆☆☆
システム:5│シナリオ:5│グラフィック:7│サウンド:5
咲永学園二年生の藤原美希(名前変更可)には、親同士の約束で決められた許嫁がいる。入学式に偶然一目惚れした甲斐先輩が、その人だった。初恋の先輩に夢中になる美希だったが、付き合い始めて間もなく、先輩は一年間のイギリス留学へ行ってしまった。やがて先輩からの連絡が途絶え、美希の心は揺らぐ。寂しさと不安でいっぱいの美希の周囲にいる四人の男性。美希の心は誰に傾くのか?




Amazon:「月ノ光太陽ノ影」
【タイトル】月ノ光 太陽ノ影
【原画】大沢篤史
【シナリオ】丸木文華
【価格】7,500円(税込7,875円)
【発売日】2006年4月21日
【メディア】CD-ROM 1枚
【ボイス】
・甲斐聡 CV:空野太陽
・高見智也 CV:春野風
・遊佐拓海 CV:安芸怜須ケン
・周藤信彦 CV:南武哲好
・一輝 CV:嶋崎比呂
・片桐涼子 CV:神月あおい 



「大人の貴方に贈る黒い乙女ゲーム」と謳われた18禁アドベンチャー。許婚との不安定な関係を軸として、許婚+四人の男性のルートに分岐します。『月ノ光 太陽ノ影』のタイトルに象徴されるように、どの男性キャラにも二面性があり、ルートによってはダークな展開に。歴史の浅い乙女ゲームにしては、そこそこ新しいことに挑戦している作品と言えるでしょうか。とはいえ、黒さはまだまだ控えめなので、本格的な黒々シナリオを期待していると物足りなさを感じます。もし同じコンセプトで次回作の予定があるなら、次はもっとドロドロ陰惨にしてほしい。

主人公の美希は、無気力でだらしのない女の子。顔が可愛く、身体がエッチで、無防備で頭が足りないので、騙して遊んでヤリ捨てするにはちょうど良い娘だと思いますが、数々の男性が本気で恋に落ちるような人間的な魅力はありません。そのわりには、なぜか美希に本気で恋する美形男が計五人。

シナリオのボリュームは無く、どのルートも1時間程度であっさり終わります。掘り下げが足りず、描写不足な部分が多くて消化不良。ストーリー自体は悪くないので、もう少しじっくりやってほしかった。シナリオが短いわりにスチルは多めで、グラフィック面は文句なし。あえて言うなら、私服のセンスがもう少し良ければ嬉しかったでしょうか。誰とは言いませんが、初めてのデートでパジャマを着てきた男には爆笑しました。ついでに言うと、そんなパジャマ男と手を繋いでときめいている主人公にも爆笑。誰か突っ込んでやれ。

同じ男女のエロでも、やはり男性向けと女性向けでは違いますね。シナリオの質に関しては現在は男性向けのほうが圧倒的に優れているため、男性向けエロゲーのほうをプレイすることが多いのですが、エロに限定すれば、やはり女性の感覚に合わせて書かれている女性向けエロのほうが違和感なく楽しめました。男性キャラの喘ぎ声が色っぽくてゾクゾクしますね。声優さんが皆、巧い。

絵師さんがボーイズラブの人なので、女の子の身体を描けるのか心配でしたが、実際にスチルを見てみると、主人公の身体がエロくて満足。ちなみに主人公は許嫁と付き合っていた間にエッチを済ませているので、処女ではありません。18禁の乙女ゲームとしては妥当でしょうね。やはり初めてだと、エッチを楽しむどころではありませんから。

豹変した許婚に陵辱されたり、3Pで陵辱されたり、薬を盛られて夢うつつに犯されたりと、陵辱もそこそこ有り。陵辱好きな身としては、嬉しかった。陵辱と言っても、きちんと女性に優しいロマンス仕様なので安心です。陵辱は好きだけれども男性向けエロゲーでヒロインが痛い目や酷い目に遭わされているのを見るのは辛い、という女性ユーザーにもお薦め。


甲斐 聡

美希の許婚。文武両道な秀才。画家の登竜門と言われる美術展に史上最年少で受賞し、将来を嘱望されている。穏やかで優しげだが、周囲の過大な期待に苦しむ孤独な人。留学先で急に美希への連絡を断ち、帰国した日に許婚解消を申し出る。不可解な行動で美希を翻弄させる彼の真意は……?

ある選択肢によって白聡ルートと黒聡ルートに分岐します。黒ルートの聡は、なかなか良いサイコっぷり。毎日[中出し]して美希を[]ませ、まんまと[結婚]した後は美希を[監禁]して自分だけの玩具に。なかなか楽しめましたが、あまり深みは無いですね。彼の孤独にしろ、狂気にしろ、描写が浅すぎて説得力がありませんでした。普通に心の病気っぽいので、しかるべき場所で治療したほうが良いと思います。

白ルートの聡は一応そういう狂った行為はしませんが、病んでいる本質は同じです。美希が愛の力で聡の心を癒すのかと思いきや、そんなことも無く、病んだまま結婚へゴールイン。ある意味、黒エンドより白エンドのほうがホラーです。今は穏やかでも、いつ何のスイッチが入って黒化するかと思うと、爽やかなハッピーエンドもうすら寒い。


周藤 信彦

堅物で厳しい担任教師。教師である自分と生徒の間に明確な線を引く。美希の相談に親身に乗ってくれるが、決して深くは関わろうとしない。そのことが美希を苛立たせる。大学時代は女関係が派手だったらしい。左手の薬指に指輪の跡がある。

教師だけあって、ガードが固くて燃えました。ずっと頑なに拒まれてきたぶん、夕暮れの教室の先生の変貌は効いた。堅物な教師の顔と妖しい素顔のギャップが良いですね。大人の魅力に翻弄されるのもいいかも……と思っていたら、バイブを入れて登校させられるわ、わざと授業で指名してバイブ操作しやがるわ、学校で目隠しプレイされるわ。こ、これだからオヤジは嫌だー! 先生と結婚したら、毎晩変態プレイを要求されそうな気がしてなりません! というか、そのバイブ、先生の元婚約者の使用済みバイブなのでは。

先生が美希を好きになった理由は、いちおう彼本人の口から語られますが、それを聞いても、どうも腑に落ちませんでした。結局、彼が美希のどこに惹かれたのか、解ったような解らないような。「私は嫉妬深い」としつこく言うわりには大したことはなく、期待外れ。先生の過去に関連する教育実習生のエピソードも安っぽく、周藤先生のシナリオはいまひとつでした。


藤原 一輝

美希の弟。二周目以降、攻略可能。実は美希は伯父夫婦の養子なので、一輝と美希は姉弟ではなく従姉弟にあたる。美希は一輝を弟としか見ていないが、一輝は実の姉ではない美希への秘めた想いに苦しむ。姉を忘れるために同級生の女の子と付き合ったりもしたが、駄目だった。

萌えた。変態男どもをクリアした後で一輝ルートをプレイすると、彼の清さに心が洗われますね。とても一途に純粋に美希を想っていて、キュンときます。肉体的にも精神的にも未熟で、それでも必死に姉を求める一輝が健気で可愛い。なんかもう、綺麗すぎて眩しいですよ。「姉ちゃん」という呼び名が、これほど凶悪とは。今まで果たして、これほど萌える弟キャラがいたであろうか。いや、いない。(反語)

ラストの選択肢で白弟エンドと黒弟エンドに分岐します。黒エンドは、なにやら困った事態になっていますね。真っすぐな子を歪んだ道へ引きずり込むと、こうなってしまうんだな……と、少し悲しくなってしまいました。汚れ担当の聡の黒エンドは好きですが、一輝にはずっと綺麗でいてほしい気持ちがあるので、あまりこういうのは見たくないですねえ。


3P (高見智也+遊佐拓海)

個人的には好きな堕落ルート。遊佐ルートではあまり見る機会の無かった遊佐の黒さを見ることができますし、何より智也の堕ちっぷりが良かった。酔って正常な思考ができない状態で遊佐に煽られ、美希を無理矢理抱いてしまう智也。美希を好きすぎて、どうしようもなくて、駄目になってしまう彼を見るのは乙なものでした。こういう弱さもありますよね、人間だもの。正気に戻った後、美希に許しを乞い、美希に嫌われたくない一心で彼女の言うがままになる駄目っぷりも良い。ダメ智也萌え。正義感が強く明るく真っすぐな智也が、どんどん堕ちて駄目になっていく様がたまりませんでした。


片桐 涼子

美希の親友。大人びたクールな美人。美希に対しては甘いが、興味の無いものには冷たい。

涼子の専用ルートがあることを期待していたのですが、3Pルートから分岐するだけの軽いエンディングで残念。もっと百合っぽいシナリオになるのかと思っていましたが、なんとなく匂わす程度でしたね。実際、涼子の気持ちはどうなのだろうな。友情なのか、それ以上の想いがあるのか。どちらにも解釈できますね。


「真実の愛」

全てのキャラのグッドエンドを見ると、おまけシナリオ「真実の愛」が追加されます。男性キャラが全員揃って、誰が一番美希にふさわしいかを論議する不毛な座談会。聡が最初から黒全開で、今までで一番生き生きしていて笑った。弟が哀れ(笑)
(2006年9月5日)


【対象】18禁 【プレイ時間】1〜2時間 【総プレイ時間】8〜9時間 【備考】WEB体験版あり(93.8MB) 【参考1】ピックアップ投票結果 【参考2】Amazon:「月ノ光太陽ノ影」

【HP】「アロマリエ」 http://aromarie.com/