Under The Moon
総評:5
★★★★★☆☆☆☆☆
システム:4│シナリオ:5│グラフィック:5│サウンド:6
魔王の娘アーシェは城の中で大事に育てられてきた純粋培養の女の子。魔王の魔力が弱まり、次期魔王候補が選出された折、魔王の座を狙う徒党の襲撃を受けて使い魔のカイルと共に城を脱出する。逃げ込んだ森で人間界に通じる穴に落ちたアーシェは、偶然にも人間界で生活する魔王候補の双子の兄弟レニとセイジュに出会う。二人は魔王の座には興味がないと言い、魔界へ帰ろうとしない。さらに人間界で悪魔狩りが始まったことにより、魔界への門が閉鎖されてしまった。魔界に帰れる日まで、アーシェは双子の家に身を寄せることになるが……。

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【タイトル】Under The Moon 【シナリオ】ひよ
【原画】東条さかな
【価格】7,500円(税込7,875円)
【発売日】2006年12月15日
【メディア】DVD-ROM
【対応OS】Windows98/Me/2000pro/XP
【ボイス】
・アーシェ CV:風音
・レニ CV:杉崎 和哉
・セイジュ CV:浅野 要二
・カイル CV:萩 道彦
・天宮 瀬名 CV:空野 太陽
・ゼロ CV:安芸怜須 ケン
・ユナン CV:プログレス |
※ ネタバレあり ※
シナリオ
“愛憎”と“純愛”、二つの要素を楽しめるダークな18禁乙女ゲーム。乙女ゲームのわりには黒い展開や残酷な結末が山ほどあるので、甘く幸せな純愛だけを求めている人には向かないかも。逆に、この手の愛憎が好きな身としては、たまらない作品でした。
次期魔王候補の双子の兄弟レニとセイジュは、アーシェの失われた記憶に関わる人物。かつてレニはアーシェと愛し合い、セイジュはアーシェの愛を得られなかった。二人とも、記憶を失くしたアーシェを今でも愛し、同時に憎んでいます。その想いが愛情へ傾くか、憎しみへ傾くかは、アーシェの行動次第。
純愛ルートは、アーシェと男性が互いに愛し合い慈しみ合うシナリオ。男性はアーシェを気遣いながら、優しく抱いてくれます。愛憎ルートは、男性が無理矢理アーシェを抱き、アーシェを肉欲に溺れさせるシナリオ。男性はアーシェの心を無視して、アーシェを壊すように乱暴に抱きます。愛憎ルートは黒寄りの展開ではあるものの、アーシェの身体だけでも手に入れようとする男性の心情が切ないシナリオでもあります。
主人公のアーシェはロリ顔&巨乳の美少女。ひたすら男性に守られ、ひたすら男性の行動に流されるばかりで、自分からはろくに行動を起こしません。あっちの男性に甘いことを言われれば、ときめき。こっちの男性にキスされれば、うっとり。この娘、美形の男なら誰でも良いのではないでしょうか。いつどこで誰にエロい事をされてもすぐさま快楽に溺れてアンアン喘いでいるアーシェには驚嘆。「悪魔の性質は性欲に忠実」という設定を差し引いても、共感からは程遠いキャラでした。「えーれべーた」とか「だぶるべーり」とか舌足らずに言っているのは萌えた。(ついでに、そんなアーシェを愛しそうに見つめるセイジュにも萌えた)
本作の戦闘描写は、なかなか凄い。「バサバサバサ!」 「キラキラキラ……」
「バリバリドーン!」 これらの面白い擬音が、本作のシナリオにおける戦闘描写の全てです。おかげさまで、どんなにシリアスな場面でも戦闘シーンになると笑いがこみあげるようになりました。本作は恋愛に関する男性の心理描写などは巧く書かれていると思うのですが、なぜ戦闘だと「バリバリドーン!」になるのでしょうね。女性のライターさんですと、確かに戦闘描写が得意ではない人も多いだろうとは思いますが、それにしても擬音だらけの戦闘テキストは斬新でした。
レニ
魔王候補の双子の兄。かつて魔王の娘であるアーシェと愛し合い、人間界へ追放された。記憶を失ったアーシェに冷たく当たるが、本当は誰よりも深くアーシェを愛している。
愛憎ルートでは、レニはアーシェを力ずくで抱いて自分のものにします。とはいえ、どんなにレニがアーシェを乱暴に抱いても、アーシェに冷たく当たっても、その奥にアーシェへの愛情と優しさがありありと見えるため、ほとんど愛憎の皮をかぶった純愛。レニの場合、愛憎ルートと純愛ルートの差は、ツンが多いかデレが多いかの違いでしょう。
純愛ルートでは、アーシェとレニの心が通じ合い、昔のように再び愛し合うようになります。そんな二人の幸せに影を落とすのが、レニの弟セイジュ。かつての悲劇が再び繰り返されることに……? アーシェの記憶が戻り、双子との過去がきちんと明かされるのは、このルートだけ。愛し合うアーシェとレニに憎しみをぶつけるセイジュの歪みっぷりが良い味を出しています。
どんな時も、レニが何よりも望むことは、アーシェの幸せ。レニのアーシェに対する愛の深さは、他キャラのルートでも度々垣間見えます。正ヒーローらしい正ヒーローと言えるでしょう。
「おまえに俺を刻み付けてやる……。一生、逃れられないくらいの、深い傷跡をつけてやる……」
セイジュ
魔王候補の双子の弟。かつてアーシェに想いを寄せていたが、アーシェが選んだのはセイジュではなくレニだった……。
愛憎ルートは、セイジュの言葉責めが炸裂。卑猥な言葉を囁きながら、優しく冷たくアーシェを嬲りまくるので、虐められるのが好きな乙女にはたまりません。ビバ言葉責め。毎晩アーシェを犯し、意のままに征服して辱めるセイジュ。けれど、時折悲しそうな表情を見せる彼を、アーシェは憎むことができません。ルート後半は、アーシェを傷つけることでしか愛せないセイジュの弱さが描かれています。
純愛ルートのセイジュは、ヘタレかつ乙女で笑える。愛憎ルートとは打って変わって、自分の弱さをそのままアーシェにさらけ出しているので、無防備なセイジュの姿を拝めます。しかし一歩まちがえると監禁エンドへ直行するあたりは、やはりセイジュ。
セイジュはむしろ、他キャラのルートで本領を発揮しているような気もしますね。生首エンド、絞殺エンド、処刑土産エンド、どのエンディングのセイジュも輝いていて素晴らしい。セイジュの狂気や病み部分にときめく乙女は、他キャラのバッドエンドも忘れずコンプリートするべし。
「哀れな僕を慰めてよ。慈悲深くて淫乱なお姫様」
カイル
アーシェの使い魔。アーシェを心から慕い、献身的に仕えている。
「……あなたの存在はまるで月のようですね」
いつも温かく優しく、アーシェを支えてくれるカイル。常にアーシェの身を案じ、気遣ってくれるカイルの献身には救われます。そんなカイルなので、彼の愛憎ルートは想像できませんでした。どんなことがあっても、カイルがアーシェを傷つけることなどあるはずがない。そう信じきっていたので、愛憎ルートでカイルがアーシェを無理やり抱いた時の衝撃は、ただならぬものがありました。
カイルの想いに気付きながら、今の関係を壊したくなくて知らぬ振りをし続けたアーシェ。カイルの苦しみに気付きながら、鈍感を装ってカイルに甘え続けたアーシェ。そのアーシェの残酷さが、カイルをここまで追いつめてしまったのです。泣いて嫌がるアーシェを強引に抱くカイルの姿がとても辛そうで、見ていて哀しくなりました。
純愛ルートは、あまりのバカップルぶりに噴いた。愛憎ルートとのギャップが凄い。アーシェがカイルの想いを受け入れるか受け入れないかで、ここまで違ってしまうものなのでしょうか。
「いくら苦しみ、もがきあがいても、どうしても月の傍を離れられないのです」
天宮 瀬名
陽気なクラスメイト。アーシェと初めて会った日から、軽い調子で口説いてくる。お調子者だけど、明るく屈託のない少年。
……かと思いきや、実は鬼畜度・病み度No.1。
いやはや、まさかの伏兵でした。瀬名に比べたら、セイジュの病みっぷりなんて可愛いものでした。正直、愛憎ルートはヤンデレ好きの私でも怖くて引いた。セイジュの病み方はある意味シンプルで解りやすいのですが、瀬名のような混沌とした病みは今まで免疫がありませんでした。
純愛ルートでさえも「間違って愛憎ルートに入ったか?」と思うほどアレな展開だったりしますが、愛憎ルートと比較すると、確かに純愛ルートはきちんと純愛であることが解ります。嘘で塗り固めてアーシェを騙す愛憎ルートと、それが出来ずに苦しむ純愛ルート。苦しいから、アーシェを嬲り、罵り、傷つける。純愛ルートは瀬名の切ない気持ちが理解できるぶん、さほど恐怖は感じませんでした。とはいえ、愛憎ルート同様に陰鬱で閉塞したシナリオであることに変わりは無く、気が滅入りました。
瀬名のシナリオはいろいろな意味で特殊で濃ゆいので、初回プレイでいきなり瀬名を攻略するのは、やめておいたほうが良いかもしれません。素人にはお薦めできない。
「本当に……君は清楚でけがれのない純粋な……薄汚い悪魔だよ」
BAD END PICK UP
■レニ純愛:Ending E
レニとセイジュの最後の戦い。アーシェの元へ戻ってきたのは、血の滴るレニの頭部を手に持つセイジュだった。悲鳴を上げて倒れたアーシェを、セイジュは優しく抱きとめる。
「僕はいつだって、レニが一番大切にしてるものが欲しかったんだ」
■レニ純愛:Ending F
レニとセイジュの争いに心を痛めたアーシェは、セイジュに会い、話し合いを求める。セイジュの答えは、アーシェを殺すことだった。
「……愛してるよ。世界中で僕が一番君のことを深く愛してたのに、どうしてわかってくれなかったの?」
■セイジュ純愛:Ending F
過去の記憶を取り戻そうとしたアーシェは、セイジュの作った一室に閉じ込められ、優しく犯され続ける。
「君の意思なんか、もうないと一緒なんだから」
■瀬名純愛:Ending F
アーシェは瀬名の元から逃れ、セイジュと共に魔界へ帰る。新魔王セイジュと正妃アーシェの婚礼の日、セイジュはアーシェに“お土産”を渡した。それは、ぼろぼろの羽で作られた血染めのショール。
「君がかつて愛した男の羽だよ」
■カイル愛憎:Ending C
カイルを魔界へ強制送還した後、アーシェはカイルを忘れるためにレニとセイジュに何度も抱かれた。やがて双子と共に魔界へ戻ったアーシェが見たものは、魔物たちに占領された城だった。そして、魔物たちを統率する王は……。
システム
アーシェの言動を選択肢で選ぶことによって、「悪魔度」と「従順度」が上下します。悪魔度が上がれば男性はアーシェを「生意気な女の子」と感じて征服欲が高まるようで、従順度が上がれば男性はアーシェを「可愛い女の子」と感じてキュンとくるようです。攻略キャラにはそれぞれ愛憎ルートと純愛ルートが用意されており、悪魔度が高ければ愛憎ルートへ、従順度が高ければ純愛ルートへ移行します。
エンディングの数だけでも30個もあるというのに、セーブが40個しか無いのは参った。なんとか少ないセーブでやりくりしようとしても、セーブデータにテキスト表示もコメント機能も無いため、どれがどのデータか判らなくなって困りました。エンディングリストにエンディング回想が無いのも不便です。スチル付きのエンディングはシーン回想に収録されていますが、それ以外のバッドエンドも回想できるようにしてほしかった。
グラフィック
立ち絵はとても綺麗です。良い表情をしますね。表情がクルクルと豊富に変わり、台詞の無いキャラクターの心情さえも、立ち絵の表情だけでしっかり表現されているのは感心しました。
ただ、スチルのキャラがどれもこれも別人すぎて驚き。どう見ても絵柄の違う複数の原画家さんがいらっしゃるように見えるのですが、クレジットを見ると東条さかなさんのお名前しか載っていませんね。もしこれほど別人だらけの絵を全部お一人で描かれたのだとしたら、恐ろしいほど絵が安定していないことになりますね。それはそれで凄い。
サウンド
フルボイスの18禁乙女ゲームをプレイしたのは本作で二本目ですが、なにやら男性キャラの喘ぎ声を聴く楽しみに目覚めつつあります(笑) 主人公のアーシェにもボイスが付いているのが嬉しいですね。アーシェの喘ぎ声がかなり可愛くて参りました。あんなに甘く可愛らしい声で喘がれたら、辛抱たまりません。アーシェの可愛い喘ぎ声と男性キャラの色気のある喘ぎ声が合わさって、相乗効果でエロさ五割増しです。
エッチの効果音がしつこい。エッチの最中、ずっと絶え間なくピチャピチャ ピチャピチャ
ピチャピチャ ピチャピチャ ピチャピチャ ピチャピチャ ピチャピチャ鳴り続けていて、うるさくてかなわん。コンフィグでエッチの効果音のON/OFF切替が出来るようになっているので、有り難くOFFにさせていただきました。もう少し適度な加減でやってほしい。
総評
濃かった。この一言に尽きます。エロが盛り沢山すぎて、プレイ中は胸焼けすることも多々ありましたが、なかなか充実した内容でした。可愛いヤンデレ(セイジュ)と怖いヤンデレ(瀬名)、攻略キャラに二種類のヤンデレがいるあたりも個人的にポイント高し。本作の愛憎ルートには充分満足しましたが、もっともっと愛憎が入り乱れて黒々とした乙女ゲームも、やってみたいですね。
(2007年11月29日)
【対象】18禁 【プレイ時間】一周目:3時間半、二周目以降:2時間 【総プレイ時間】25時間 【備考】WEB体験版あり 【参考1】
ピックアップ投票結果 【参考2】
Amazon:「Under The Moon」
【HP】「シュガービーンズ」
http://www.sugar-beans.com/
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