地球から280億光年離れた超巨大星系チュルホロを統治する星国家「マボウ虫と明日」の王位継承者、ジスロフ・チュルホロ。ジスロフは禁止遺伝子工学で製造した怪生物により地球から少年ナナを攫い、無理やり后にする。その後、ナナを誘拐した反逆者たちを殺しナナを奪い返すも、ナナの心は一層離れるばかりだった……。
ついに出てしまいました、アンディー・メンテの18禁ボーイズラブゲーム。その名も『ジスロフたん、ナナたん、死神たん、ハァハァハァハァ!』(注文する時、恥ずかしい)。怪生物製造SLG『ジスロフ帝国の興亡』(
Vector)、無人島サバイバルSLG『自給自足』(
Vector)の続編にあたります。ナナを軟禁して無理矢理エッチしながら、恋を成就させましょう。
……と書くと、まるでジスロフ殿下があぶない人みたいですが、おそらくその認識は正しいです。ちなみにストーリーの流れは、『ジスロフ帝国の興亡』→『
I wish』→『自給自足』→『ジスロフたん、ナナたん、死神たん、ハァハァハァハァ!』となっています。
マルチエンディング形式のノベルゲーム。主人公のジスロフに「LV」(レベル)が設定されており、選択肢によってLVが増減します。LVの数値によって新しい選択肢が現れたり新しい展開になったりしますので、LVは重要な要素です。特にトゥルー(と思われる)エンディングに到達するためには、LV上げは必須。いつものAMゲームと比べれば、やり込み要素も無くシンプルな構成ですが、普通のビジュアルノベルとしては難易度は少し高めかもしれません。
タイトル画面のメニュー「執事を呼ぶ」にて、「クリアデータの閲覧」「おでかけ」「つくったのだあれ」を見ることができます。「おでかけ」はキャラたちのその後を描いたおまけシナリオ。見たエンディングによって増えてゆき、最終的に「怪生物園へ」「ショッピングへ」「死神の様子」の三つが表示されます。「つくったのだあれ」は、にゃんこの後書き。さらに全エンディングをコンプリートすると「おめでとう」が現れ、にゃんこが誉めてくれます。CGギャラリーはありません。(欲しかった)
誘拐されていたナナを無事に奪い返したジスロフ。しかし、大切な友を殺されたナナは、ジスロフへの怒りと憎しみで一杯になっていた。嫌がるナナを無理やり抱いた後で、ジスロフの胸に残るのは苦い後悔。そんなジスロフの前に、死神が現れる。死神はジスロフが夢中になっているナナに興味を示し、「ナナに手を出して欲しくなければ自分の言う通りにしろ」と脅迫してくる。ジスロフは死神からナナを守り抜くことができるのか。そして、ナナの心の行方は……?
ジスロフがどんなに愛情を寄せても、ナナはジスロフを憎み、拒絶するばかり。そしてジスロフも優しい接し方を知らず、自分の欲望をぶつけてナナを傷つけてしまいます。ナナを大事にしたいと思いながらも抑制がきかず、ナナをとても好きなのに、その想いは届かない。そんなジスロフが悲しくて、切なくなりました。
シナリオ後半は、いかに死神からナナを守るかという展開になります。強大な力を持つ死神に対抗するのは難しく、最初のプレイではことごとくバッドエンドに。どんな状況でも常にナナのことを想い、自分の命を犠牲にしてもナナを守ろうとするジスロフの健気さには心打たれます。そして死神もまた、届かない想いを抱える一人。死神は本当はジスロフのことを好きなのに、ジスロフの心にあるのはナナのことだけ。死神は愛情表現がひねくれているぶん、ジスロフとはまた違った切なさがありました。
ジスロフは暴君として忌み嫌われる冷酷な王。そのジスロフが、ナナの些細な一言でショックを受けたり、ナナの一挙一動にオタオタしている姿は、とても可愛らしいです。本当にナナのことを好きで好きでどうしようもない様子で、純粋でまっすぐな愛情に
じんわりきました。なんていじらしい……。紆余曲折の末にジスロフとナナが結ばれたトゥルーエンドは、しみじみと嬉しくなりました。ジスロフ、よかったねえ。
カップリングはジスロフ×ナナ、死神×ジスロフ、ナナ×ジスロフ、死神×ナナの四種類。言葉や描写が直接的で、繊細さの欠片もありません。このあたりは、男性の作者さんの特徴が出ていると言えるでしょうか。ちんこだの何だのの単語が飛び交うテキストは、どちらかというと『炎多留』の属性に近いような気も。ジスロフがナナの口に自分ものを咥えさせてナナの苦しむ顔をじっと見つめるシーンや、ナナの中に射精しながらナナの身体を強く抱きしめるシーンなど、ジスロフのナナに対する想いが表れている場面は萌えました。
ジスロフ殿下はどうもナナを目の前にすると理性が飛んでしまうらしく、暴走が激しいです。プレイしながら、「お前の頭の中はそればっかりか」と呆れることも無きにしもあらず。そういうお馬鹿なところも、かわゆいですね。
「LV」の意味を把握するまで少し手間取りましたが、概ねオーソドックスなノベルゲームです。一途でお馬鹿でいじらしいジスロフ殿下に萌え萌え。難点は、たかだか一時間程度のボリュームのわりに価格が高い事と、誤字脱字があまりにも多い事。特に誤字脱字の多さは半端ではなく、この短いシナリオの中でよくぞここまで誤字を出せるものだと、いっそ感心しました。それをそのまんま売っているのも凄い。一応仮にも売り物として出すのなら、最低限のチェックはするべきなのでは。
グラフィックもテキストも、お世辞にも上手いとは言えません。単純にクオリティで言えば、同人ゲームの水準を大幅に下回る「下の下」でしょう。ただ、クオリティとは全く別の点で、「萌え」も重要な要素であることは確かです。どんなに完成度が高くても萌えない作品もありますし、逆もまたしかり。その点では、この作品は激しく萌えまくりました。萌えポイントは人それぞれですので、万人にお薦めというわけではありませんが、個人的には満足しています。