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Knight of Trust

総評:6
★★★★★★☆☆☆☆
システム:5│シナリオ:6│グラフィック:4│サウンド:7
ブルグミュラー王国の騎士団長ゲルドは、先王の代から仕える実直な騎士。戦場から帰還した日、ゲルドは若き少年王エレンから城に謀反の動きがあることを知らされ、身辺警護を依頼される。それはすなわち、ゲルドが今の騎士団を抜けて王の近衛兵になることを意味した。 「ゲルドさん、ずっと俺の上官でいてくださいね」 戦場で部下のシュミットと交わした約束が脳裏をよぎる。ゲルドの選ぶ道は……?


タイトル画面 シュミット
Knight of Trust (ナイト・オブ・トラスト)

「あいたかった、ゲルドさん」

BAD END シュミット
「ゲルドさん、俺のものになってくれるんですね」 「あなたを殺して、何も選べなくなるようにしてあげる」


概要
対象 - BL18禁
価格 - イベント価格:1500円、ショップ価格:1900円
動作OS - Windows ME /2000/XP/(98)
頒布日 - 2006年12月29日(コミックマーケット71)
メディア - CD-ROM
パッケージ - DVDスリムトールケース
ブックレット - マニュアル2P
プレイ時間 - 2時間半〜3時間
総プレイ時間 - 10〜11時間
ツール - 吉里吉里2/KAG3
攻略対象 - 3人
セーブ - 50個
画面 - 800×600
スチル - 76枚(差分除)
音楽 - Gravity Point 主題歌「Knight of Trust」、エンディング「雲間の青」
コンフィグ - 音量調整、文字表示調整、画面切替
オプション - CG鑑賞、ムービー鑑賞、エンディングリスト
備考 - OPムービーあり、WEB体験版あり


シナリオ
ブルグミュラー王国の謀反事件を巡る、王と側近と騎士のドロドロ愛憎物語。女性向け作品の割に戦闘描写がしっかりしていて、女性向け作品の割に残酷描写にも遠慮が無いので、血と骨と肉がギチギチでミチミチな苛烈なガチンコバトルを楽しめます。Fateなどの活劇系シナリオが好きな女性にお薦めかも。

主人公のゲルドは、ちょっぴりオツムの弱い騎士歴二十年の中年ヒゲ親父。攻略対象の全員から好かれまくり片想いされまくりなのに、これっぽっちも気付かない超絶おニブさん。彼がここまで鈍感でなければ、おそらく事件はさっさと解決したであろう。一応、肉体的にはゲルドがブツを突っ込むほうで総攻めということになっていますが、むしろ精神的には総受けなのでは。

特筆すべきは、攻略対象の一人、騎士団の部下シュミットの徹底したヤンデレっぷり。十年前ゲルドに命を救われて以来、ずっとゲルドにぞっこん☆LOVEだったシュミットですが、ゲルドがエレン王の依頼を受けてシュミットの傍から離れたことで病みスイッチが入り、ゲルドを自分のものにするためにしつこくヌッ殺しに来ます。ライターさんがこのシナリオを書いた当時はヤンデレをご存知ではなかったそうですが、シュミットのゲルドに対する常軌を逸した愛と病みっぷりは見事にヤンデレを体言しており、ヤンデレスキーとしては、わくわくしっぱなしでした。


1周目:エレン

一周目はワケありな出生を持つ少年王エレンルート。襲い来る造反者たちからエレン王を守り、首謀者を倒す王道シナリオです。序盤からいきなりシュミットが飛ばしており、ヤンデレ絶好調。愛ゆえにゲルドを殺す気満々のシュミットと、そんなシュミットに戸惑いを隠せないゲルドの戦いは、いろいろな意味で楽しかった。以前のシュミットに戻ってほしいと願うゲルドの甘さを一蹴するシュミットにゾクゾクしました。エレンルートでシュミットを救うのは諦めましょう。下手にシュミットに情けをかけると、ゲルドさん好き好き言われながら刺されまくるので注意。ラストバトルで絶体絶命のピンチからゲルドの機転で大逆転!の場面は燃えた。ゲルドが頭を使って成功した唯一の事例のような気がする(笑) 肝心のエレン王に関するストーリーは、いまいち印象が薄かったような。しかし、ゲルドとエレンが互いに想いを抑え、王と騎士として在り続けようとするノーマルエンドは物悲しくて好きです。


2周目:カイン

二周目はエレン王の側近カインルート。今回はゲルドがエレン王の身辺警護の依頼を断り、シュミットの傍から離れることも無いため、シュミットとの関係は驚くくらいに和やかです。一周目のシュミットがいきなり病んでいたので、そちらのイメージが先行してしまいましたが、本来はこんな穏やかな関係を十年間ずっと続けてきたのですよね。ほのぼのと仲の良い二人が微笑ましすぎる。

ゲルドに好きな人(カイン)ができたと知っても、変わらず穏やかなシュミットに驚いてしまいました。てっきり、また狂うのかと思いましたが。どうやらゲルドが「好きな人ができた」ことをシュミットにきちんと打ち明けてくれたことが、シュミットを安堵させたようです。そんなのでいいのか。そんなので。あまりにもシュミットの望みがささやかすぎて、泣けてきます。

カインルートのラスボスはエレン王。疑心暗鬼に陥ったエレン王がカインを疑い、ゲルドを疑い、ついには正気を失います。ちょっと嘘情報を吹き込まれただけで、長年信頼してきた大事な側近のカインをあっさり切り捨てるエレンが唐突すぎて理解できませんでした。魔女の血のせいとか説明されても、納得しにくい。エレンがカインを疑わざるを得なくなるまでの葛藤を多少でも書いてくれたら、もう少しエレンに理解を示すこともできたかと思います。

トゥルーエンドは哀しい結末ではありますが、ゲルドの意思を継いだシュミットの存在がエレン王の救いになりました。なんだかシュミットがまともすぎて、眩しいです。そんなにまともでいいのか、お前。

そんなこんなで途中までは感動していたのですが、[輪廻転生したゲルドとカインが現代日本で運命の再会]というオチは、かなり微妙でした。これのせいで一気に安っぽくなってしまった。ライターさんがゲルドとカインに救いを与えたかったのも解るのですが、余計なことをしちゃったなという感じです。


3周目:シュミット

三周目は真打ちシュミットルート。シュミット視点のシナリオとなっており、ゲルドさん好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き〜状態のシュミットの心の内を包み隠さず知ることが出来ます。こいつ本当に朝から晩までゲルドのことしか考えてねえ。

ゲルドを想いながら自慰をしたり、ゲルドの部屋を覗いてハァハァしたりとキモさ全開のシュミットを楽しめますが、その度に自己嫌悪どっぷりなシュミットを見ると、ちょっと可哀相になってしまう。病みスイッチさえ入らなければ、きちんと理性も倫理観もある子なのですよね、一応。むしろシュミットのことだから、ゲルドの留守中にゲルドの部屋に忍び込んでゲルドのパンツを頭にかぶっていてもおかしくないと思っていましたので、たかが扉の隙間からゲルドの部屋をちょっと覗いた程度で自己嫌悪に陥っているシュミットの可愛らしさに驚いたくらいです。

ゲルドとの関係が壊れることを恐れ、十年間、自分の想いを抑え続けてきたシュミット。上官と部下の距離を保ち、部下としてゲルドの隣にいることのできる今が幸せだと自分に言い聞かせ、それでもゲルドへの想いは増すばかり。よくぞまあ十年間もこんなことを続けてきたものだと感心しますが、そうやって抑えて抑えて抑えてきたものが、ゲルドの心無い言葉とベルンハルトの追い討ちによってぶっ壊れ、一周目のスーパーヤンデレシュミットに至るわけです。

後半は概ね一周目の展開をシュミット視点でなぞる形で進行し、ゲルド視点では知ることのなかった謀反事件の裏側が描かれます。シュミットのプッツン後の狂った思考回路が細やかに書き込まれており、かなり楽しい。トゥルーエンドを見るためには五つ全てのフラグを立てる必要がありますが、トゥルーから外れたシナリオもヤンデレ的に外せない内容となっていますので、お見逃しの無いように。シュミットがゲルドの部屋で自慰をしてご機嫌な「自慰・エクストラダメージケア」は、シュミットが正気だった頃との対比にもなっていて面白い。もちろん、シュミットがゲルドを犯して殺して××するエンディングもあります。

トゥルーシナリオのラストバトルは、まさかのシュミットVSベルンハルト。ゲルドと真正面から向かい合い、自分の根底に気付くことのできたシュミットが、ゲルドを護るため、ゲルドの信じるものを護るため、謀反の首謀者ベルンハルトと戦います。これには大いに燃えましたし、感動しました。あの駄々っ子が、こんなに成長して……(涙) ヤンデレものの場合、病みっ子が狂ったまま終わるパターンが多いせいか、なんだかシュミットの成長にやたらと感動してしまった。シュミットの決意。シュミットの戦い。シュミットの出した答え。『Knight of Trust』という作品の最後を飾るにふさわしいシナリオだったと思います。


システム
普通の吉里吉里システムで、ノベルゲームに必要な機能も一通り揃っており、とりたてて不便はありません。あえて言うなら、エンディングリストにバッドエンドも収録してほしかった。大抵のプレイヤーはバッドエンドも全て収集したいと思うでしょうけれど、その目安となるものが無いと収集しにくいです。個人的に好きなバッドエンドも多かったので、形に残らないのは寂しい。できればエンディングリストにエンディング回想も付けていただけたら、なお親切でした。


サウンド
「Knight of Trust -Acoustic version-」が好きですね。(音楽担当サイトで試聴できます)
なかなか良い曲が揃っていますが、音楽鑑賞が無いのが残念。男性向けの同人ノベルでは大抵どこのサークルさんもゲームに音楽鑑賞を付けてくださっているのですが、なぜか女性向けだと、ほとんど見かけませんね。なぜでしょうか。付けてほしい。


総評
良いヤンデレゲーでした。事件そのものは至って単純ですが、それを取り巻く男たち(主にシュミット)の愛憎心理が楽しかった。本作のタイトルは、『Knight of Trust 〜好き好きゲルドさん〜』がよろしいのではないかと思います。
(2007年10月29日)


【製作HP】 「TEAM HATSUSHIBA WEB」 http://hatsushiba.jpn.cx/

【参考】ピックアップ投票結果
【音楽HP】 「Gravity point」 http://anabura.hp.infoseek.co.jp/

主題歌「Knight of Trust」 作曲:あなぶら/作詞:竹原アスカ/歌:K-TARO
エンディング「雲間の青」 作曲:あなぶら/作詞:竹原アスカ/歌:RAN